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(理科コラム3)寒冷前線と温暖前線はどっちがどっち? 暖かい空気と冷たい空気の性質をまず理解しよう。

2022.02.12

「西から前線が近づいて天気は下り坂、雨や雷雨となるでしょう」
天気予報でよく聞くセリフです。運動会や旅行を予定しているときはあまり聞きたくないセリフですよね。ところで、前線が近づくとなぜ雨が降るのでしょうか。そもそも前線とはいったいなんでしょうか?

前線は「暖かい空気塊(暖気)」と「冷たい空気塊(寒気)」がぶつかるところに発生します。ぶつかっている面を「前線面」といい、地上に接しているラインを「前線」といいます。あくまでも空気ですから、目には見えません。

ここでポイントは、暖気は上昇し、寒気は下降するという特徴を理解しておくことです。暖気は密度が小さいため軽く上へ、寒気は密度が大きく重いため下へ行こうとします。この点をしっかり押さえておきましょう。

4種類の前線(イメージ)

さて、前線には4種類あります。

①「暖気」が「寒気」より強いとき

「暖気」は「寒気」にはい上がるように進みます。このとき「温暖前線」が発生します。暖気は、上昇すると膨張して温度が下がり、水蒸気が凝結して水滴になります。この水滴が雲を形成し、雨を降らせます。温暖前線付近は広範囲でシトシトと雨が降ります。

②「寒気」が「暖気」より強いとき

「寒気」は「暖気」の下に潜り込むように進みます。このとき「寒冷前線」が発生します。「暖気」が急に持ち上げられるので、水蒸気が一気に水滴に変わって積乱雲を形成し、狭い範囲で激しい雨や雷雨になります。

温暖前線と寒冷前線の横断面図(イメージ)

③「寒気」と「暖気」の勢いが同じとき

両者が同じ程度の力で押し合うと「停滞前線」が発生します。「梅雨前線」や「秋雨前線」はその代表で、ぐずついた天気が長く続きます。特に梅雨の時期、栃木県は前線の北側に位置することが多く、シトシト雨で気温も低めですが、鹿児島県などは前線の南側に位置し、雨はザーザーと降って不快な蒸し暑さとなりやすいのです。

④温暖前線に寒冷前線が追いついたとき

温暖前線や寒冷前線は、低気圧の中心から伸びていることが多く、温暖前線が進行方向前面に、寒冷前線はその後面に発生します。寒冷前線の進行が早く、前にある温暖前線に追いつくと、そこに「閉塞前線」が発生します。「閉塞前線」を伴う低気圧は最も発達した状態にあります。

雨が降ると暗い気持ちになりがちですが、その仕組みを理解して天気図を見たり、どのような雨が降るのかを予測して雨具を準備したりできれば、雨とのお付き合いも楽しくなるかもしれませんね。

《キーワード》「空気の密度」

空気は温度が高いと膨張して体積が大きくなります。重さが変わらなくても体積が増えれば、密度は小さくなります。逆に温度が低くなると、体積が小さくなるので密度が大きくなります。 このため、冷たい空気と暖かい空気が隣り合っているとき、暖かい空気が上昇し、冷たい空気が下降するのです。公式で表すと「p=ρRT(気圧=密度✕気体定数✕絶対温度)」(気体の状態方程式)と言います。高校の物理で勉強するほか、気象予報士試験でも最初に覚える公式です。興味のある方は、ぜひ頭の片隅に置いておいてください。

(文/気象予報士 福嶋真理子

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