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(理科コラム1)「心臓」ドキドキのしくみ。血液は右の「房」に入り左の「室」から出る。

2022.01.20

 皆さんは、心臓が筋肉でできていて、最も重要な働きが全身に血液を送り出すポンプの役割であることを学ぶと思います。心臓が四つの部屋に分かれていることも学ぶと思いますが、それぞれの部屋がどういう役割を果たしているかを理解するためには、血液が戻ってくる部屋である「心房」と血液を送り出す部屋である「心室」が1つの単位となっていて、左心と右心の二つのポンプが合体して一つの機能を果たしていると考えると良いでしょう。

 血液は酸素や栄養を全身に送り届け、帰りに二酸化炭素や老廃物を回収して戻ってきます。心臓から血液を送り出す血管が「動脈」で、心臓に血液が戻ってくる血管が「静脈」です。血液は左心室から大動脈を通って全身に送られ、全身から大静脈を通って右心房に戻り、右心室から肺に送られます。二酸化炭素が多く含まれた血液(静脈血)は肺で酸素が多く含まれた血液(動脈血)となり、肺静脈を経由して左心房に戻り、ふたたび左心室から全身に送られます。なお、血液が全身を1周する時間は30秒から50秒ほどです。

 

心臓の模式図

 心臓は手を握ったゲンコツくらいの大きさですが、安静にしている時は1分間に60回から80回拍動(伸収縮)し、1回に約70mlの血液を送り出しているので、1分間では約5リットルにもなります。いっときも休まず働いているので、1日の拍動数は10万回、一生の間に30億回にも及びます。この拍動(心拍)数ですが、一生に打つ回数はほ乳類の種類に限らず、同じだと考えられています。ネズミのように体が小さく数年しか寿命がない動物は1分間の拍動数が600回と多く、ゾウのように体が大きく100年も生きる動物は20回と少ないのです。心臓の拍動数は「生物の時計」とも考えられ、小さな動物の時間は早く過ぎ、大きな動物の時間はゆっくりと進むのです。

脈の測り方

ところで皆さんは、好きな人から話しかけられたり、授業中に先生から質問されて心臓がドキドキしたことはありませんか。私たちはうれしかったり、緊張したり、興奮したりすると心拍数が上がります。このような心(こころ)の状態が心拍数に反映されるため、昔から心臓には「心」が宿っていると考えられてきました。心を表すハートマーク(❤)は心臓の形ですし、英語の“heart”は「心臓」と「こころ」の両方の意味をもつ単語です。現代では、こころは心臓ではなく脳にあるという考えが一般的となりましたが、今でも心臓が最も重要な臓器の一つであり、こころを映す鏡であることに変わりはありません。

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《キーワード》「血液の働き」
血液は赤血球・白血球・血小板などの固形成分と血しょうという液体成分からなっています。赤血球は酸素と結びついて運び、白血球は体に侵入したウイルスや細菌と戦って体を守っています。血小板はけがをしたときなどに血液を固めて出血を止める働きがあります。血しょうは酸素以外のものを運んでいます。

(文/さくら市岡医院 岡 一雄

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