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(理科コラム14)光の不思議(3) 干渉ってなに?

2022.07.15

私たちの周囲にはさまざまな物質がありますが、いずれも小さな原子が集まってできていることが分かっています。しかし、物質とは思えないものもあり、光はその代表的なものです。光の正体が何かということについては、昔からさまざまな議論がありました。

17世紀のオランダの科学者ホイヘンスは、光を波と見る立場で反射や屈折などの現象を説明しました。一方、イギリスの科学者ニュ-トンは光は粒子であるという立場をとりました。しかし、19世紀に入るとイギリスの物理学者ヤングによって、光が波であると考えないと説明がつかないような現象が発見されました。これは「光の干渉」といわれており、次のような実験で観察することができます。

図1で、光源からの光がスリットS1とS2を通ってスクリーン上に像を作るようにすると、明暗の縞模様が現れます。これは、スクリーン上の位置によってスリットS1、S2それぞれからの距離が順々に変化することで、S1とS2それぞれを通過する光の波の山と山が強めあう場所と、山と谷が打ち消しあう場所が順々にできるためです(図2)。その後、スコットランドの物理学者マックスウェルによって光が電磁波の仲間であることが示され、光の正体は完全に解明されたかのように思われました。

ところが20世紀初めになって今度は、光が粒状に集中したエネルギ-のかたまり(光子(こうし)の流れであると考えなければ説明できない現象(光電効果)が発見されました。実は、光子の考えによって説明される現象は身近なところにもあります。晴れた夜、私たちが目をあけると同時に星を見ることができるのは、星からきた光子によって目の中の光を感じる細胞が刺激されるからです。もし、光が波のように広がって届くのであれば、目の細胞が刺激されるには1時間以上もエネルギ-を蓄積しなければならないでしょう。

それでは、光の干渉を光子の考えで説明できるでしょうか。多数の光子がスリットS1、S2を通るとき、お互いに何らかの影響を及ぼしあって干渉縞を作るということも考えられます。しかし、光を弱くして光子が一個ずつしかスクリ-ンに飛んでいかないようにして、その位置を記録していっても、結果的に干渉の縞模様は現れるのです(図3)。この結果は、たった1個の光子がS1とS2を同時に通過し、波のように干渉すると考えなければならないことを示しています。このように、光は波と粒子の二重性という不思議な性質を持っています。

《キーワード》光電効果
金属の表面に波長の短い光を当てると電子が飛び出しますが、ある波長より長い光では、いくら強い光をあてても電子は飛び出しません。ドイツの物理学者アインシュタインは、波長の短い光はエネルギーの大きな光子の流れであると考えてこの現象を解明しました。紫外線を浴びると日焼けして、赤外線の出るストーブに長時間あたっても日焼けしませんが、これも、光子のエネルギーに違いがあるためです。

(文/子ども総合科学館 成島晋也

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