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(理科コラム18)気体、液体、個体の変化を状態変化という。

2022.09.09

 氷、水、水蒸気は全て同じ物質です。0℃以下になると氷になり、100℃をこえると水蒸気になり、その中間は水です。このように温度が変化することで、物質の状態変化がおきています。「状態」には固体・液体・気体の3つの状態があり、状態変化は加熱・冷却をすることで固体・液体・気体の状態に変化することです。

 上の図は状態変化を表しています。固体が液体に変化することを融解ゆうかいといいます。液体から気体になる現象を気化といい、コップの水が表面から蒸発して水蒸気になることをいいます。気体から液体になる現象を液化といい、水が凍ることを凝固といいます。
固体から気体になる現象を昇華といい、芳香剤ほうこうざいが時間が経つと固形物の量が減り昇華されます。また、冷凍庫の中で氷を長時間凍らせ続けていたら、いつの間にか小さくなっていく現象も昇華です。

 ちなみに、「フリーズドライ」製法でつくられるインスタント味噌汁は、凍結乾燥法で固体(氷)から気体(水蒸気)へ昇華する乾燥法が用いられています。

 ところで、最近まで気体から固体になる現象も昇華といわれていました。今年(2022年)の高校化学の教科書から「凝華ぎょうか」と呼ばれるようになりました。昇華する固体は疑華もします。たとえば冬の時期、高い山では樹氷を見ることができます。樹氷は気体の水(水蒸気)が固体の水(氷)に変化してできるものです。

 純粋な物質(水、塩化ナトリウム、鉄など)は1種類の物質でできているもので、融点(固体が液体になる時の温度)・沸点(液体が沸騰して気体になる時の温度)は決まった値を示します。それは固体が溶けはじめてからすべて液体になるまで、また液体が沸騰しはじめてから気体になるまで温度は変わりません。このことを記したグラフが下図です。

 純粋な物質であれば融点、沸点ではグラフが平らになります。

 混合物の融点や沸点はどうなるかというと、純粋な物質と違って一定にはなりません。また温度変化の仕方や混合する割合によっても変わっていきます。

 混合物とは純物質が混ざり合ったものの例として、海水や石油等があります。混合物は各純物質の沸点が違うため、沸点の違いによって物質を分けることができます。混合物を加熱して沸騰させて出てくる気体を冷やして再び液体として取り出すことを蒸留といいます。そして2種類以上の液体を含む混合物を蒸留により分離することを分留といいます。身近なものですと、石油は精製する際に原油を軽油、灯油、ガソリンなどに分留します(下図参照)。

 このように、身のまわりの物質はさまざまな状態変化が起きています。日々の生活の中でふと
不思議に思ったことがあれば、どのような状態変化か調べてみると楽しいですよ。

《キーワード》状態変化
状態変化では、物質そのものは変化しませんが、粒子りゅうしの集まり方が変化します。ふつう物質は固体や液体が気体となると、体積も大きくなります。これは固体や液体の状態よりも気体の状態のほうが粒子の運動が激しくなるためです。

(文/日本サーモスタット株式会社 下田大助

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