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(理科コラム6)調べてみよう!身近な消費電力と二酸化炭素の排出量

2022.04.01

現在、地球の大気温度が上昇する地球温暖化が進行しているといわれています。地球温暖化とは、温室効果ガス(二酸化炭素など)が大気中に放出されることで、地球の温度が上昇する現象のことです。そのことで、異常気象や大規模な気候の変動、熱帯性の病気の広がりなど、さまざまな影響が出るといわれています。

地球温暖化の原因の一つとして挙げられているのが、二酸化炭素の排出量の増加です。二酸化炭素は高い温室効果を持っており、人が呼吸をしたり、火を燃やしたりすることで発生します。2019年度、日本での年間の二酸化炭素排出量は約11億800万トンで、1人当たり8.78トン排出していました(温室効果ガスインベントリオフィス「日本の1990~2019年度の温室効果ガス排出量データ」2021年4月13日発表)。さらに排出量を減らすため、個人レベルで取り組める家庭での省エネについて、電気代から考えてみましょう。

消費電力は、消費電力(W)=電流(I)×電圧(R)で求めることができます。さまざまな電化製品には「○○W」というように、その製品がどれほどの電力を消費するかが表示されています。消費電力のワットは電気使用量として計算され、消費電力を抑えることが電気代節約(省エネ)につながります。

日本の二酸化炭素排出量の推移(1990~2019年度)出典:温室効果ガスインベントリオフィス/全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(https://www.jccca.org/)より

電気代を計算する場合、「消費電力量(kWh:キロワットアワー)」を用います。例えば、1kWh(1キロワットアワー)とは、「1キロワット(1kW=1,000W)の電力を1時間消費した場合」という意味です。1kWhの電気代は各電力会社のプランで変わってきますが、ここでは約27円と想定します。そして、1kWhの二酸化炭素の排出量は約368gとされています。それでは、消費電力を算出してみましょう。

たとえば、ドライヤーの消費電力を1,200Wとすると、1回で12分(0.2時間)ほど使用した電気代は、「消費電力(W)÷1,000×使用時間(h)×1kWhの電気代」で計算できます。実際に計算すると、1,200(W)÷1,000×0.2(h)×27円=6.48円となります。そして二酸化炭素の排出量は、電気代の公式の「1kWhの電気代」を「1kWhあたりの二酸化炭素の排出量(368g)」に置き換えて計算できます。そうすると、1,200(W)÷1,000×0.2(h)×368g=88.32gとなります。

家庭の蛍光灯としても使われ、省エネ・高寿命のLEDシーリングライトの1時間当たりの電気代は、40(W)÷1,000×1(h)×27円=1.08円、二酸化炭素の排出量は40(W)÷1,000×1(h)×368g=14.72gとなります。一般的な蛍光灯の1時間当たりの電気代は約2円、二酸化炭素の排出量27.6gと比較すると、LEDにするだけでかなりの省エネにつながることが分かります。

毎日使っている電化製品の電気代と二酸化炭素排出量を計算して、身近なところから節電・節約を心掛けてみてください。

表:身近な家電製品の消費電力量

《キーワード》二酸化炭素の再利用
二酸化炭素は空気中に約0.03%ある色も臭いもない気体で、地球温暖化の原因一つです。しかし最近では、二酸化炭素を「資源」と考える「カーボンリサイクル」という取り組みが進められています。たとえば光合成を行う生き物を使った「バイオ燃料」などへの再利用も、その取り組みの一つです。

(文/日本サーモスタット株式会社 下田大助

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