日々の天気図に描かれている「高気圧」と「低気圧」。高気圧は晴れて、低気圧は雨が降るというのは、なんとなく知っているかもしれませんね。では、なぜ低気圧だと雨が降るのでしょうか?
天気図の見方
天気図には「高」「低」という表示があります。これは高気圧や低気圧の中心を示す記号です。高気圧は、周囲よりも気圧が高く、閉じた等圧線で囲まれたところをいい、低気圧は、周囲よりも気圧が低く、閉じた等圧線で囲まれたところをいいます。いずれも、気圧が何hPa(ヘクトパスカル)以上または以下という定義はなく、あくまでも周囲に比べて高いか低いかで決まります。ちなみに等圧線とは、気圧の等しいところを結んだ線のことで、一般的にはhPaごとになります。
高気圧の特徴
高気圧の中心は、上空から地上に空気が移動する下降気流になっていて、地上付近は時計回りに風が吹きだしています。この場合、晴れの天気になりやすい特徴があります。日本に影響する高気圧は主に4つあります。夏のムシ暑さを運んでくる南海上の「太平洋高気圧」、梅雨の時期に現れる冷たく湿った空気の「オホーツク海高気圧」、冬に冷たく乾いた空気を北西から運んでくる「シベリア高気圧」、そして春と秋に次々と現れる「移動性高気圧」です。
低気圧の特徴
低気圧の中心は、地上付近で反時計回りに風が中心に向かって吹き込んでいて、中心付近で行き場を失った空気が上に逃げるため、上昇気流が発生します。水蒸気を含んだ空気が上昇すると、周りの冷たい空気に冷やされるため、水蒸気は水滴になり、雲を発生させて、やがて雨が降ります。低気圧にもいくつか種類があり、主なものは暖かい空気と冷たい空気がぶつかって発生する「温帯低気圧」、暖かい空気の塊でできている「熱帯低気圧」です。
台風は「高気圧」でしょうか?それとも「低気圧」でしょうか? 答えは「低気圧」です。台風は、熱帯低気圧が発達したものをいいます。発達具合を判断するのは中心付近の最大風速。日本付近の定められた海域で、17.2m/s(メートル毎秒)以上になると「台風」と呼びます。夏から秋は、日本列島が台風の影響を受けやすい時期。2019年10月の台風19号では、田川、黒川、思川、荒川などが氾濫し、県内の広い範囲で大きな浸水被害が発生しました。台風の本格的な季節を迎える前に、大雨に備えた防災対策について、ぜひご家庭や学校で話し合ってみてくださいね。
(文/気象予報士 福嶋真理子)